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いわゆる共謀罪と法改正プロセスの在り方、伝え方について [政治]

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いわゆる共謀罪の内容を含む、組織犯罪処罰法の改正に関する議論が国会で始まろうとしています。共謀罪そのものの是非はさておき、個人的に感じたのは、この法律を所管する法務省は、法律に関する技術的なことは詳しいかもしれないけれど、法改正自体は下手なのかなという思いです。

それは、今回の改正の必要性が伝わってこないからです。

現在の法改正のオフィシャルな理由は、国際条約の批准のためです。刑事司法や犯罪に近しいとは言えない人々にとっては、この理由、理解できなくはないものの、腑に落ちるとは言い難いのではないでしょうか。

また、法改正に伴う論点といえば、対象が犯罪組織か一般人かというような枝葉末節の議論や、さもなくば、治安維持法の再来かそうではないのかというレッテル張りとその否定、もしくは対象犯罪の範囲といった技術論に終始しているように見えます。

おそらく、何より重要なのは、共謀罪のような規定が無いことによるデメリットを、様々なケースを通じ、理性と感情に訴えかけることではないでしょうか。

ちなみに、この手のやり方が上手いのが、毎年のように道交法改正を行っている警察庁交通局だと思います。

例えば、飲酒運転規制強化は、飲酒による認知能力の低下や、飲酒運転の悲惨な事故や被害者の声などをマスコミが取り上げることで、大きな批判無く受け入れられました。また、高齢者の運転規制の強化も、高齢者による事故の様子や数などを指摘することで、世論を敵に回さずに認知症対策の法改正を実現しました。

いずれも、理性に訴える公的な統計数字の推移等の客観的な情報と、感情に訴える事故や被害者の声などを通じ、規制強化の必要性を納得させています。

もちろん、道交法の一部改正と、多くの刑罰法令にまたがる共謀罪規定とは全く同じとは言えないでしょう。ただ、法律の賛否の意思を表示するのが人間である以上、理性と感情に訴えるやり方には、それなりに普遍性があると思います。

私個人は、大学と大学院で刑事司法をかじったこともあり、共謀罪の考え方は理解できなくもありません。通信技術等の発達によって犯罪を組織で行うことが容易になり、それによって、末端の実行者はともかく、組織全体の摘発や捜査は一層困難になります。もちろん、組織は末端の行為者がいなくても、組織が生き残れば犯行は継続されます。また、個人で行う犯行と比べ、犯罪発生時の被害も大きくなりがちです。

いわゆる大規模テロはもちろんですが、多額の被害を発生させる振り込め詐欺集団などはわかりやすい例でしょうし、単純な往来妨害行為でも、組織で同時多発的に行えば、交通機関を麻痺させることは難しくなく、それによって生じる物流の被害は甚大でしょう。

つまり、捜査しにくく、また、発生したときの被害も大きい犯罪が、より実行しやすくなっている、というのが現状です。これに対し、共謀罪というやりかたがベストかどうかは議論の余地があるとしても、より犯行の前段階で介入すべきと考えることには、一定の合理性があると思います。

一方で、処罰範囲が広がることに関する懸念があることも、理解することはできます。

もし、政府与党が真剣にこの法案の必要性を訴えるなら、統計数字に加え、国内外のテロや組織犯罪の具体的な事例や、現行法令での限界、そして被害者の声など、国民の情と理に訴える方法をさらに模索してもよいはずですし、法務省もそれくらいの調査やまとめはできるはずです。

しかし現在のところ、政府与党は野党の議論にむしろ受け身で対応しており、法改正が必要な背景や理由を積極的に訴えているようには見えません。もし安定多数を擁している政府与党に緩みがあるとするならば、大切なはずの法改正の必要性を訴える熱意の少なさこそ、まさにその好例でしょう。

ともあれ、国会で与党が多数派である以上、今回の法案が可決される見込みは高いと考えられます。野党は、廃案の主張という無駄な努力に精力を注ぐだけでなく、成立する法律を合理的に運用するための修正案の提案や、自ら考えるテロや組織犯罪対策、およびそれらの国際協調について、与党の代替選択肢になりうる旨を、やはり国民に訴えるべきだと思います。

≪参考記事≫
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170502-00000026-asahi-pol


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