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理事としての責任は何か?貴乃花親方の処分について [事件]

元横綱日馬富士関の暴力事件に関連し、被害者である貴乃岩関の師匠貴乃花親方に対し、理事解任の降格処分が下される見込みとなりました。理由は、暴力事件に関する相撲協会への報告義務違反などです。

ネット上では、暴行事件の現場にいた横綱白鵬関や、日馬富士の師匠の伊勢ヶ浜親方、八角理事長などの処分と比べ、重すぎるのではないか、との意見も少なくありません。ただ、刑事事件としての責任追及と、相撲協会という組織内の責任は一応分けて考えるべきだと思います。

理事としての職務上の義務違反や、その後の貴乃花親方の対応は、協会の事態把握を遅らせ、対応が後手に回った要因の一つだと思います。その意味では、相撲協会の立場として、貴乃花親方に対し何らかの責任を問うことは当然でしょう。

加えて、貴乃花親方が協会の姿勢や対応に危惧や懸念を抱いていたとしても、貴乃花親方はその理事の一人であり、相撲協会の規約や組織運営に影響力を及ぼせる立場のはずです。そうであれば、いたずらに協会との対決姿勢を示すのではなく、組織の中で改革や改善を目指すべきだったのではないかと思います。

もっとも、相撲協会のガバナンスについては、報道で見る限り、大いに改善の余地があることは、いうまでも無いと思います。幸いなことに、貴乃花親方は理事として再選されることが濃厚だそうです。今回の暴行事件とその対応を教訓に、貴乃花親方はじめ、関係者の方々のいっそうの努力を期待したいところです。

【参考記事】
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171229-00000001-wordleafs-fight&p=1
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普通の人が行う組織犯罪。組織犯罪対策の考え方 [事件]

埼京線での集団痴漢や、アイドルファンによる集団でのキセル事件など、インターネットでの情報収集・共有による組織犯罪の摘発が続いています。

末尾参考記事では、「いまは一見普通の人間がネットでたやすく組織犯罪を起こす時代」という捜査関係者の声を紹介。組織犯罪というとテロや暴力団を想定しがちですが、インターネットや各種情報共有ツール、交通手段の発達により、犯罪を組織的に行うコストは劇的に低下しており、誰もが組織犯罪に関与する可能性が高まっています。

犯罪を組織で行うことによって、一般に、被害はより大きくなり、捜査は困難になります。また、実行犯を数人摘発しても、犯罪を行う仕組み自体は温存されることが少なくなく、犯行が繰り返される傾向にあります。

これまでの組織犯罪法制の議論では、犯罪「組織」の定義が焦点になりがちでした。例えば、普通の人か犯罪組織の構成員かという、控えめに言って、言葉の遊びに過ぎないような議論に終始していたと思います。しかし、アドホックな人間集団の行う犯罪行為も、立派な組織犯罪であり、多くの被害をもたらすものとして、規制を強めるべきです。

犯罪被害から人々や暮らしを守るために、組織犯罪対策は不可欠となりつつあります。いわゆる共謀罪や、その他の捜査手法の検討なども、現在の犯罪情勢に合わせて議論していかなければならないと思います。

【参考記事】
http://blogos.com/article/265585/
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ビキニはフクシマの未来予想図か? [事件]

8月6日放映予定のドキュメント番組について、テレビ朝日が『フクシマの未来予想図』というサブタイトルを削除したと報じられました。番組告知によれば、ビキニ環礁の水爆実験とその後の対応、特に、住民を避難させなかったことの理由を「人体実験のため」と指摘し、その経緯と是非を問うものだったようです。

このタイトルと内容がネットを中心に大きく批判され、SNSで拡散されました。理由としては、福島第一原発事故との関連性が不明確であり、福島における政府対応が人体実験目的であるかのような誤解や、すでに放射線量上問題ない地域でも将来健康被害が発生するかのように見せかけており、差別や偏見を助長する、などです。

このような批判を受け、テレ朝は、「誤解を生じかねない」ことを理由にサブタイトルを削除しました。ただ、番組の内容については触れず、放映も予定通り行われるようです。

個人的には、ビキニ環礁の水爆実験と福島第一原発の事故を安易に結びつけるやり方は不謹慎だと思いますし、「誤解を生じかねない」という一言は、誰にどのような誤解かという点だけでも、あまりにもぶっきらぼうな説明だと思います。その意味では、批判は妥当でしょう。

一方で、いくら主張自体は正しくても、ネットやSNSによる、いわば顔の見えない民意の大きな声によって、テレビ番組のタイトルや表現が一方的に変更されうるのも、釈然としないものを感じます。
欠けているのは、手続きの透明性と、事後的な被害が発生した場合の迅速な被害回復なのでしょう。

現行制度では、具体的に権利を侵害されうる人でなければ、法的な仮処分や、BPOの手続き、事後的な訴訟などの手段をとることができません。しかし、利害関係者が錯綜する中、個々人の権利を中心とした制度では、限界があると思います。

ネットやリアルに溢れる様々な論点を集約して主張しあう、そんな場所を制度的に設けることが必要なのかもしれません。

【参考記事】
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170802-00000066-jij-soci

痴漢冤罪と準現行犯逮捕 [事件]

電車内で痴漢を疑われた人が、逃走して線路に立ち入るなどして、さらなる事故に巻き込まれるケースが相次いで報道されています。痴漢は確かに卑劣な犯罪であり、厳格な法の裁きを受けるべきですが、その一方でいわゆる痴漢冤罪の問題もあります。

痴漢で逮捕されると、冤罪であっても嫌疑を晴らすのは著しく困難であり、仕事や家庭生活に深刻な悪影響が生じます。それくらいなら一か八か逃げた方がよいと考えるのも、理解できなくはありません。ただ、逃げる過程で線路に立ち入るなどすれば、事故はもちろん、別の犯罪になったり、電車遅延の民事責任を負う可能性もあります。

性犯罪の摘発と冤罪の回避をどうするか、様々な論点がありますが、個人的には、逮捕、特に準現行犯逮捕の運用見直しが必要ではないかと思います。

手元に統計は無いのですが、満員電車における痴漢での逮捕の場合、現行犯逮捕が多いと思います。しかし、逮捕者が被疑者の犯行を実際に目で見ているケース(いわゆる犯行の現認)は、現実問題としてそれほど多くないのではないでしょうか。にも関わらず現行犯逮捕扱いをされるのは、一定の場合には犯行を目で見ているのと同じ扱いをするという、準現行犯逮捕(刑訴法212条2項)で運用されているからです。

詳しくは条文参照ですが、準現行犯を広く解釈すれば、例えば女性から「痴漢だ!」と名指しされて逃げようとした場合、痴漢を実際にしていなくても、逮捕の要件が満たされる可能性があります。逮捕されれば、その後の勾留も含め最大で23日間留置場に身柄拘束され、家族や職場との連絡も厳しく制限されます。その間の連日の取調べは、相当なストレスになるはずですし、冤罪であるほど、虚偽自白の誘発が懸念されます。

本来、法の裁きである刑罰は、起訴され、裁判を経た、有罪判決の結果であるはずです。しかし日本では、有罪判決のはるか前の段階である逮捕時点で、被疑者に対しあたかも刑罰のような不利益を科していると考えられます。

逮捕はもちろん刑罰ではなく、被疑者の逃亡と証拠隠滅を防ぐための手段に過ぎません。逆に言えば、逃亡や証拠隠滅の恐れが薄い人を逮捕するのは、単なる嫌がらせです。その意味では、明らかに目撃者がいて証言がある際は通常の現行犯として扱うべきですが(それでも逃亡等の恐れが無い場合は逮捕の必要はありません)、そうでない準現行犯の場合は、本人の勤務先や住所がしっかりしていることや以後の警察の事情聴取に応じることを前提に、逮捕をせずに任意事件として扱う運用をすべきだと思います。

任意であれば、警察の聴取を受けたり検察に捜査結果を送致されたりすることを除いては、普段と変わらない日常生活を送ることができますし、弁護士への相談も自由です。もちろん任意事件であっても、起訴され、裁判で有罪判決を受ければ、当然刑罰を受けることになります。

やはり、痴漢犯罪者に適切な刑罰を科しつつ、冤罪や事故を防ぐための一歩として、まず、逮捕の運用を見直すべきだと思います。

≪参考記事≫
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170517-00000051-mai-soci

「保護なめんな」はどこまでアリか?小田原市のケースワーカーのジャンパー [事件]

神奈川県小田原市の生活保護担当のケースワーカーたちが作ったジャンパーの記載が、話題になっています。エンブレムには、「保護なめんな」とローマ字で記載があり、その他、「我々は正義だ」「不当な利益を得るために我々をだまそうとするならば、あえて言おう。クズである」などの表現があったとされています。

生活保護受給者への不要な威圧になっているとの専門家の批判などがあったことから、市は事実関係を確認した上で、着用を禁止しました。背景には、10年ほど前に担当職員がナイフで切り付けられる傷害事件が発生したことなどから、部内での士気を上げる目的があったなどと説明されています。

確かに、それらのジャンパーの記載は適切ではないと思います。また、ケースワーカーの方々も、本当に困っている人には、きっちり手を差し伸べたいと考えているはずです。このような記述はそんな思いを誤解させてしまうことになるでしょう。自治体の対応は、当然かつ妥当です。

一方で、生活保護などの対応には、介護や接客業などと同じ、感情労働の側面があると思います。また、現場だからこそ、不正受給に対する憤りもあったことでしょう。ケースワーカーの方々には、そのようなストレスがあったことが推測されます。

過剰ないしは不当な要求への対応の具体的な線引きのような感情労働へのケアや、悪質な不正受給への厳格な罰則など、職員個々人や現場の対応だけでなく、組織的、制度的な対応も必要だと思います。

【参考記事】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170118-00014972-kana-l14&pos=2