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模範は竹下登?デマ、ニセ科学など、リスクコミュニケーションの問題について [生活]

福島第一原発事故から6年。放射線への懸念はいまだ根強く、科学的に合理性の疑われる指摘も少なくありません。そんなリスクコミュニケーションの問題を扱った記事が面白かったのでシェアします。(末尾参考記事参照)

記事によれば、専門家によるわかりやすい解説でも、3~4か月もすると内容は忘れられ、誤解に基づく認識が広まっていたとのこと。その背景にあるのは、住民の理解力不足でも、専門家の説明力不足でもなく、住民の知りたいことと専門家が知ってほしいこととの乖離にあったと結論付けています。端的にそれを表せば、「科学的には正しい。でもコミュニケーションとしては失敗」ということ。

さらに悪いことに、そのような乖離が、専門知識やデータに基づいて話をしているはずの専門家や行政への不信感を生み、デマやニセ科学が広まる温床になっているということです。デマやニセ科学に基づいて行動するのは、突き詰めれば個人の自由です。しかし、民主主義の名のもとに、デマやニセ科学によって政治や政策が動かされれば、結果的に多大な税金の無駄が生じ、本当に助けるべき人への支援が滞ります。

政治家や行政官を含む専門家は、デマやニセ科学に踊らされないことはもちろん(これも難しいか?)、知識をわかりやすく伝えることに加え、知識を受け取る不安を持った人の目線に立つ姿勢が求められます。

余談ですが、そんな姿勢の参考となる政治家の一人に、元総理大臣の竹下登氏がいます。

「話を詰めるときは、相手のところへ下がる。実際は、相手を引き上げながら話をするんだよね。だから、タフ・ネゴシエーターといえば、実は強烈なネゴシエーターじゃないんだ。ほんとうは相手の立場まで下がる、あるいは相手の立場を引き上げていく能力があるということなんだ。」

竹下氏が意識したかは別として、このような姿勢は、原発のみならずリスクコミュニケーション全般の観点からも示唆的だと思います。

一方で、個人であっても、デマやニセ科学に従った行動は、問題解決につながらないのは明白です。食品に関する放射線量の継続的な計測データなど、公的機関による情報はインターネットで広く公開されています。ある程度はっきりしたソースを前提に、不安を伝える情報とそうでない情報を併せて集め、総合して判断する知的な努力が必要なのだと思います。

≪参考記事≫
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170305-00010004-bfj-soci&p=1

子どもの貧困。論理と正しさを超えて [生活]

子どもの貧困に関する湯浅誠氏のコラムが、コミュニケーションの問題として示唆的だったのでシェアします。

【子どもの貧困 「昔のほうが大変だった」への対処法】
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yuasamakoto/20161206-00064974/

戦後間もない頃から、高度経済成長やIT革命を経て、人類史上を見回しても劇的に生活水準が上がったといっても過言ではない我々の両親世代(いわゆる団塊の世代の前後を想定しています)。その幼少期に比べれば、今の子どもの貧困、特に相対的な貧困がメディアで取り上げられる事実に対し、「昔の方が大変だった」と言いたいのは、至極当然だと思います。

ただ、「その人たちも悪意があって言うわけではない。今の子どもたちの大変さを否定したいのではなく、自分の幼少期の苦労を、自らの人生の一部として尊重して欲しいというだけだ。」という湯浅氏の発言は、政策や社会問題において論理性だけが重視される傾向に、大きな疑問符を呈していると言えます。

一方で、子どもの相対的な貧困を放置すれば、それぞれの子どもの生活はもちろん、社会全体として将来的な活力が失われてしまうこともまた、事実です。それは、老若誰もが望まない事態のはずです。

当たり前ですが、言葉の正しさや論理的な整合性だけでは、人を説得することは困難です。正しさや整合性を踏まえつつ、いかに個人の感情を尊重した表現をとるかが、社会問題を扱う言論に求められているのでしょう。

大切なのは、今とは違うと言って「昔の大変さ」を切って捨てるのではなく、「昔の大変さ」という事実そのものを認め(確かにそれは事実です)、そこを生き抜いてきた人生を尊重すること。その上で、現在の相対的貧困という問題とその解決について、合意できる点を積み重ねていくことなのだと思います。

中止か?強行か?大阪府泉佐野市のイベント対応について [生活]

ネット炎上に対する自治体の対応が興味深かったのでシェアします。

大阪府泉佐野市で行われる渓流での金魚放流イベントに対し、「生態系に問題があるため実施を中止すべき」との指摘があり、賛否を巡ってネットで炎上状態に。主催の泉佐野市では、検討の結果、下流にネットを設けるなど環境や生態系に配慮した上で、予定通りイベントを実施しました。

匿名性の高いネットでの指摘は、国内外で思わぬ拡散をすることから、様々な意見に配慮して、中止の判断をするケースも少なくないと思います。しかし、本件では、専門家の意見を聞くなどして、イベント実施方法の変更によって対応しました。

開催を強行するのではなく、事なかれ主義的に中止するのではない、このようなきめ細やかな対応は、評価できると思います。

伝統行事やイベントも、現在の基準から見ればおかしいと考えられるものもあるでしょう。一見クレーマー的にも思える意見から改善するためのヒントをみつけ、正確な知識や情報に基づいて説明する力が、自治体や企業に求められているのだと思います。

【参考記事】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160729-00000528-san-soci

日本経済の撤退戦!?空き家問題について [生活]

日本の空き家とその費用負担に関する記事が興味深かったのでシェアします。

少子高齢化に伴い、空き家や老朽化住宅が増えているにもかかわらず、資金が無かったり、共同住宅でのコンセンサスが取れないなど、土地建物の所有者がその改装や撤去費用を負担できないケースも増えています。その一方で、新規住宅が着々と建設されているという、矛盾する現状です。

住宅の老朽化や管理不十分な空き家の増加は、災害に弱く、犯罪に利用される懸念があり、都市政策の観点からも対策が望まれます。しかしつきまとうのは財源問題でしょう。土地建物の所有者、政府自治体、そして民間の開発事業者などで、開発と費用負担のスキームを作る必要があろうかと思います。

さて先日、総額28兆円という巨額の経済対策が発表されました。将来のための投資や、伸び悩む需要の下支えはある程度必要だと思います。しかし、少子高齢化や人口減少など、日本社会が抱える構造的な課題の処理にも、やはりお金はかかります。

人口減少社会をいかに持続可能なものにするか、空き家の対策など、一見後ろ向きに見える様々な課題にも、真摯に取り組むことが求められるのではないでしょうか。

【参考記事】
http://news.yahoo.co.jp/feature/271

日本一財政が豊かな村。その課題は? [生活]

日本一財政が豊かな村として有名な、愛知県飛島村の紹介記事です。

【参考記事】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160506-00000512-san-bus_all

誰もがうらやむ充実の行政サービスについては記事参照ですが、その背景にあるのは、各種工場誘致の成功による企業の固定資産税です。こんないいことづくめの村の課題は、約4500人の人口が伸びないこと。

その理由について少し調べてみると、どうやら宅地に適した土地の多くが、都市計画法上の市街地調整区域に指定されており、住宅の建設等に大きな制限が加えられているためのようです。指定の明確な理由は不明ですが、一つには、災害の抑制があるのかもしれません。飛島村の多くは海抜が低く、津波や洪水の被害の恐れが大きいため。伊勢湾台風でも多数の死者を出しました。

もう一つは憶測ですが、住環境や行政サービスの質の低下を憂う地元の方々が、必ずしも人口増加を望まないということも、ありそうな気がします。市街地調整区域の指定は都道府県知事によるものですが、その決定には、国土交通省の同意と関係市町村などへの意見聴取が必要になります。言い換えれば、知事や国土交通省を動かせば、市街地調整区域は変えられるのではないでしょうか。

今の飛島村の豊かさも、人口が減少してしまえば、豊かさどころか、自治体の存続自体が危うくなります。人口問題について、今と将来のバランスを取ることが、求められているのかもしれません。