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「逮捕」って何?~3つの誤解から~ [警察・刑事手続]

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刑事ドラマや事件報道でよく聞く「逮捕」。

悪いことをして警察に捕まる、というイメージを持つ人が多いと思いますし、それはそれで全くの間違いではありません。ただ、もう少し正確な意味やニュアンスを押さえておいたほうがニュースを理解したりフィクションを楽しんだりできるのではないでしょうか。そこで、「逮捕」について、3つの誤解という切り口から簡単な解説を試みました。

◆誤解1◆逮捕の目的は犯人を懲らしめることである

 犯人を懲らしめるのは、逮捕ではなく刑罰です。

 刑罰は、事実を調べ(≒捜査)、刑事裁判に訴え(起訴)、裁判(公判)で有罪判決が確定した犯人に対し、はじめて科されるもの。逮捕は、刑罰のはるか前、そもそも犯人が犯罪を犯したかどうかの証拠を集める、捜査段階の話です。怪しい人を誰でも逮捕していいわけではなく、ある具体的な犯罪を犯したという、相当の理由がある被疑者が対象となります。

 しかもその目的は、被疑者が逃亡したり罪証隠滅したりするのを防ぐため(刑事訴訟法199条、60条)。逃亡はわかりやすいですが、罪証隠滅と言うのは、例えば、証拠書類を破棄したり、証人になりそうな人に口止めを働きかけたり、被害者を脅したりするようなことを指します。

 したがって、どんな極悪人であっても、逃亡や罪証隠滅のおそれが無い人を逮捕するのは、違法です。また、逮捕による身柄拘束は刑罰ではないので、捜査に支障のない限り、与える不利益は刑罰よりも少なくあるべきと考えられます。刑罰によって極悪人を懲らしめるには、捜査によって証拠を集め、刑事裁判で犯人の言い分も聴く機会を十分に与え、有罪判決を下した上でなければなりません。

 悪人を懲らしめるには、時間と手間がかかるものなのです。

◆誤解2◆逮捕を判断するのは裁判所である
 
 逮捕をすべきかどうかの判断は、裁判所ではなく、捜査機関(警察、検察)が行います。

 もっとも逮捕は、原則として、裁判官が事前に発行する令状(=逮捕状)によって行われます(刑事訴訟法199条)。だから、裁判所が逮捕の権限を持っているように見えるかもしれません。しかし、そもそも捜査において逮捕の必要性を判断して裁判所に令状を請求するのは捜査機関であり、かつ、裁判所は捜査機関に対する指揮命令権がありません。

 すなわち、逮捕状は「逮捕しろ」ではなく、「逮捕の要件はあります」という確認の意味と解するのが現行法の立場です。つまり裁判所は、逮捕の要件がそろっているかどうかを第三者の目線からチェックするという役割なのです。
 
 したがって、逮捕状が発付されても、逮捕するかしないかを決めるのは、捜査機関ということになります。

◆誤解3◆逮捕されるのは真犯人だけである

 残念ながら、真犯人ではない人が逮捕される、いわゆる誤認逮捕の可能性は、現行法が許容しているリスクと考えられます。その理由は二つです。

 一つには、逮捕は、公判での有罪認定と比べ、犯人の怪しさを証明するための程度が低いことです。逮捕で必要な怪しさのレベルが、犯罪を犯したと疑うに相当理由で足り、しかもそれをある程度納得できるレベルの証拠を示せばよいのに対し(これを疎明といいます)、刑事裁判の有罪では合理的な疑いをさしはさむことができない程度と言う、非常に高いレベルの証明が求められます。

 もう一つが、逮捕は捜査機関が主導する、一方当事者参加の手続きであるため、被疑者側が事前に意見を申し立てる機会がないことです。通常の逮捕は、逮捕状を被疑者に提示しますが(刑事訴訟法201条)、それに対する直接の不服申し立てはできません。検察官が主張する事実に対し、弁護士が反論を重ねて事実の認定を行う刑事裁判とは、手続が異なるのです。

 人の身柄を拘束する逮捕について、なぜこのようなリスクを放置しているのでしょうか?それは、捜査と公判(刑事裁判)の位置づけの違いにあります。
 
 逮捕は、犯罪の証拠を集める捜査段階の話であり、被疑者が真犯人だと認定するための証拠が集まりきっていません。しかも、人の記憶が薄れたり、物的な証拠の散逸や、化学変化などもありうることから、事件後出来るだけ早く証拠を集める必要があります。したがって、すでに捜査を終えて証拠が集まったことが前提となる起訴や裁判の段階と異なり、捜査段階である逮捕は、疑いのレベルが低くても介入する必要が高いのです。

 もっとも、最大72時間身柄が拘束される逮捕は、被疑者にとって大きな不利益になります。したがって、誤認逮捕をできるだけ防ぐのは、やはり重要な課題です。逮捕の判断を慎重にすることはもちろん、仮に逮捕した場合であっても、例えば身元がはっきりしていて逃亡の危険が無い場合はすぐに釈放するなど、柔軟な運用が必要なのだと思います。

◆まとめ◆

・逮捕は、証拠を集めるための捜査を迅速適切に行うための一手段であり、悪いことをした人を懲らしめるための刑罰ではありません。
・逮捕するかしないかの判断を主導するのは裁判所ではなく捜査機関です。令状は、逮捕の要件があるか否かを第三者的に確認するものです。
・刑事裁判での有罪認定とくらべ、捜査の性質上、真犯人以外を逮捕するリスクがあり、それを軽減させる運用が求められます。

≪関連記事≫
 痴漢冤罪と準現行犯逮捕
 http://daily-news-portal.blog.so-net.ne.jp/2017-05-18


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タグ:捜査 起訴 公判
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